私はベッキー

好感度タレントの代名詞として生きてきた人生。このまま一生いい子の自分を演じて終わるのではないかという恐れを抱えて生きてきた。
しかし、笑顔と元気を私はなくさなかった。少なくともカメラの前では。
そんな私が今では、ふしだらな女と蔑まれている。
もちろんそれは仕方のないことだ。
私は中学生の時からこの世界にいる。 
不倫したタレントに対する世間の厳しさなんて、あきるほど見てきたし知っている。
この世界では、一瞬ですべてが終わってしまうなんて日常茶飯事なのだ。
それにしても彼のバンド名が「ゲスの極み乙女」だなんて、できすぎたお話だなとは自分でも思う。
LINE画像流出は「やってしまった」という気持ちより、恥ずかしさの方が強かった。 
さんざん世間にバカにされたが、恋仲の男女のLINEなんて大抵あんなものではないだろうか?
世間のみなさんはもっと高尚な文章のやりとりをしているのだろうか?
会社でうるさい上司に怒られたあと、彼氏に「またあのハゲ怒ってたから適当にあしらっといたw」ぐらいの軽口LINEをしたことがないのだろうか?
まぁ、あの状況であの内容が出てしまったら責められるのは仕方がないとも思う。私のミスだと素直に認めることにしよう。
しかしそれにしても完全なプライバシーであるはずのLINEのやりとりを平気で掲載している週刊誌に対して、世間から強い批判がなかったことには驚きを隠せなかった。
人の盗まれたプライバシーを平気で公開してしまう報道よりも、1人のタレントが不倫したという罪の方が重いらしい。
この国の住民としては、私の不倫よりもそんな報道機関のあり方の方がよほど身近な危険だと思うけれど。
まぁ仕方がない。
世間とはそういうものだ。
ただ一つ、無理だとはわかっているけれど私のお願いを聞いてくれるのならば、あの「センテンス何ちゃら」って言葉をいじるのはやめてもらいたい(だって自分がポロっと書いてしまったくだらない冗談をずっと日本中で繰り返されるのって地獄以外の何物でもないでしょ?)。
とにかく、私はこのくだらない「世間」というものに好かれなくてはならない「芸能界」という歪な空間からしばらく離れることになった。
この問題が取り上げられ、仕事が減り始めたときは、悔しさ、申し訳なさ、敗北感で最初はおかしくなりそうだった。
いや正確にはおかしくなった。
LINEが一度流出したあとに、またLINEで連絡を取り合ってしまったなんて、私らしくない凡ミスだ。おかしくなっていたと認めざるをえない。
どこかで「不倫ではない」と、「離婚する予定の男と少しフライングぎみに付き合っているだけだ」と世間にわかってもらいたい、という甘さが自分にあったことも、こんな凡ミスを犯してしまった原因の一つだと思う。今更後悔しても仕方がないが。
しかし今、この世界から、一旦なのか永遠になのかはわからないが、離れることになった私は少しワクワクしている。
今までは、一生この世界で世間の機嫌をとって生きて行くんだなと思っていた。
違う人生への憧れは自分の中に強くあったが、芸能界という華やかな世界から離れるという恐怖に負けて、一歩を踏み出せずにいた。
しかし、思いもしなかった形で、芸能界の方から「ぷつん」と縁を切られた。
きっとこの事件がなかったら、私には一生できなかったであろう「芸能界を去る」という決断をすることが、自分の意思ではないところであっさりと行われてしまったのだ。
子供がふいに手を離して、風船が遠くの空に飛んで行ってしまったように。
自分では絶対にできなかった決断を何かが勝手にしてくれたのだ。
望んだわけではないが、何か運命のようなものでふっと舞い込んできたこの自由を、私は謳歌しようと思う。
大丈夫。
あなたも知っているとおり、ポジティブに生きていくことには自信がある。
17年間もやってきたスタイルは血肉になって私の中で息づいている。
さぁこれから何をしよう。
この世で1番窮屈で汚い「世間の目」という水の中をずっと泳いできて、疲れちゃったから、まずはゆっくり体を休めよう。
そして好きなことを好きなだけやっていこう。
私の人生はここからが本番なのだから!
レッツ・ポジティブ!!
なんてね。

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